夏の終わり、恋花火

「うん..ごめんね、なんか急にお腹痛くなっちゃってね!
せっかく彼氏さん達にも来てもらったのに恥ずかしいよ~
あゆみの彼氏もちゃんと見れなかったしー。」

冷静に。あゆみは何も知らないんだから。

「そうなのー??心配したじゃん!!もう平気??
また彼氏にも会ってあげてよ~、彼氏の友達もイケメンだったしさ!」


「うん、もちろんちゃんと紹介してほしい~、カッコよかったね、彼氏!!
どこで出会ったのよ??」


こんなこと聞いてどうするんだろ...


「あのねー、うちのお父さんが病院やってるのね、」

あゆみはお嬢様だったんだ。
知らなかった。今さら。


「その病院に拓海が...あ、拓海って彼氏ね!!
拓海が入院してて、私よく病院に遊びに行ってて出会ったんだ~
中学3年生のときかなあ??

お父さんの病院、小児の患者さんが多いから本とかたくさん置いててね、
拓海ってすっごく暗くて本ばっか読んでてさ、
でもカッコいくてオーラがあったから、私いっつもちょっかい出してたんだよねぇ...」


あゆみが懐かしそうな、愛おしそうな遠い目をして語る。


「女には興味ない!みたいな感じでさぁ~
で、お父さんに聞いたら、結構難しい病気で、急に発症したから、手術も緊急だったし、術後も薬剤治療とかが大変だったみたいで...

お父さんも早くに亡くなってるみたいで、入院費用の為にお母さんが朝から晩まで働いててお見舞いも中々来れなかったみたいでね...

私、どうにか心を開いてもらおうって頑張ったんだよね...

同情とかじゃなくてさ、1人で病気と戦っててね、すごいな、って思ってさ..


あっ、ごめんね、なんか語っちゃった」


エヘへと照れ臭そうにあゆみは笑う。


そんな事があったんだ...


全然病気なんて気配なかったから。
本当に突発性の病気だったんだろうな...
きっとショックだっただろう..

夏休み、あの花火大会の前にはもう....