あれからあたしは高校生になった。



あの花火大会の日、拓海くんは結局、連絡もなく、現れず、あたしは1人泣きながら花火を見た。
帰ってから、一生分の涙じゃないのかってくらい涙が止まらなくて
惨めで情けなくて恥ずかしくて、夏休み中泣いていたかもしれない。

あたしごときが調子付いて欲をかくからあんなことになったんだ。


夏休みが終わって学校へ行くと、拓海くんの姿はなかった。

病気か何かで、どこか遠くの学校に転校してしまったらしい。

あたしの頭は真っ白になって、詳しい内容はもう覚えていない。

思い出したくもない。
今でもあの花火大会の日を思い出すと
胸が締め付けられるように苦しくなって
泣きそうになる。




あたしは高校生になった。
たかが中2のほろ苦い恋の記憶と言えばそれまでだけど
経験値の少な過ぎるあたしには
大きすぎて重くて
すべてをリセットしたくて、忘れたくて
電車で二駅も離れた高校に入学した。

あたしはすべて忘れたい。


でも裏腹に、いつも思うのは
あの時君はどんな気持ちだったのだろう?
今どこにいますか?
何をしていますか?