窓から差し込む澄んだ夏の日差しが照らしている。

あたしは、一世一代の決心をした。

8月の第二週の土曜日に毎年開催される花火大会に、拓海くんを誘うこと。

もちろんダメ元だ。

やれることをやってみる。
当たって砕けろ、だ。

でも...やっぱり..もし万が一...
なんて考えてしまう。

どんどん欲張りになっていく。


とは言え、直接言うのは到底無理なので
百花のアドバイスを取り入れ小さなメモを渡すことにした。

「8月8日の花火大会一緒にいかない?」

ペンケースの中に潜めた。


いつ渡そう...
ドキドキと手汗が止まらない。

朝から授業も手につかない。(それはいつもの事だけど)

「森川さん、今日落ち着かないね」

拓海くん、すぐ異変に気づく視野の広さ。

「そっ、そうかな」

チャンスは今だ

「たく...」

「森川さんさぁー、8月8日の花火大会一緒にいかない??」


「へっ?」

すっとんきょうな声が飛び出る。

「えっ、え!??なに、どっきり?
罰ゲーム??」

そうとしか考えられない。

「もー、森川さんほんとおもしろいなあー!森川さんと花火見たらおもしろいだろうなーと思って!」



奇跡ってほんとにこの世界にあったんだ...
今まで地味に、目立たず、欲をかかず、謙虚に生きてきたあたしに神様はご褒美をくれるのですか?