一学期最後の席替え。


一大イベントに教室はざわついてる。


あたし、森川渚(もりかわなぎさ)14歳、
くじ引きで引いた数字を黒板に書かれた席順の数字から探す。


あった。


窓ぎわの1番後ろ!!
景色もいいし、先生から遠いからフリしてサボれるし、居眠りできるし..
毎回みんなが狙っている、いい席だ。
テンション上がって、思わず

「やった」

声が漏れてしまった。



その声に気づいてか、友人の佐藤百花(さとうももか)が駆け寄ってきた。


「いいなー!!わたし1番前だょ??最悪!」

寄りにもよって1番前とは..
百花の運のなさに思わず笑ってしまう。

「笑い事じゃないょ!渚とすごく離れちゃった~~」
悲しそうに言った。


たかが、教室の席順が離れたくらいでこんなふうにさみしがってくれるのがなんだかうれしい。


百花はほんとに素直なコだ。


みんながガタガタと机の移動を始めた。
例にならってあたしたちも机を移動した。



さて、お隣さんは誰かな??




「めちゃいい席!ラッキー」



星野拓海くん。


クラスの目立つグループの1人だ。


地味でシャイなあたしは挨拶を交わす程度の関係。


サッカー部で、社交的で、人気者で、
男の子の友達も女の子の友達もたくさんいる拓海くんは、
こんな時も、こんなあたしにさえ気さくに話しかけてくれた。


「うん、ラッキーだよね!」



はぁ...
ほんとつまんない返答..。