すると、ずっと静かで動かなかった梨乃ちゃんがもごもごしだす。




「か、加藤」


「何?」


「そろそろ離して」




俺の肩に手を置く梨乃ちゃん。


俺はまだこうやってたいけど、さっき無理やりキスをしちゃった手前、嫌とは言えない。




梨乃ちゃんは俺を責めなかったんだから、ここは我慢しよう。




そう決めて、梨乃ちゃんから体を離す。



抱き合うだけでこんなにドキドキしたのは初めてだ。





それだけで十分と思えたのも初めてだ。



女の子は体だけだと思っていたけど、そんなことはない。






「梨乃ちゃん、ありがと。
落ち着いた……」