トイレに入ったら、壁一面が真っ赤に染まっているのかと思ったけど。


普通に、見慣れた色をした、何の変鉄もない壁だった。


「なんだぁ...真っ赤な女子トイレって言うから、壁真っ赤なのかと思った」


同じ事を考えていたのか、莉緒が安堵の表情を浮かべながらそう呟いた。


でも、油断は出来ない。


さっきの時点で、この学校は完璧に呪われている事がわかってしまったんだから。


恐る恐る手洗い場を通り過ぎて、個室が並んだ通路を確認した。


別に、薄暗いだけで、極々普通なんじゃないかと思った。


…が、しかし。


「ねえ、見て...」


小声でそう言いながら、綾が小さく、一番奥のトイレを指差した。