「そんなかしこまらなくても…ふふこちらこそありがとう」


そう言葉を返す志緒ちゃんの声はなんとなく嬉しそうで、いつもより声が高い気がする。


志緒ちゃんの声の高さと比例して私の気分はどんどん低くなっていった。


…いやでも、まだ浮気とは決まってないし。

決定的な何かがある訳じゃないし。


ーー…そう自分を元気づけて、あおくん達を見ようと階段を覗いたのが悪かった。



あおくんと志緒ちゃんは抱き合ってて、


…それもガッツリと。

お互いがお互いの背中に手を回していた。



それを見た瞬間私の中での不安は、確実なモノになってしまった…。


ほっぺを暖かい何かが流れ落ちたと同時に私は教室まで走った。


何かを振り払うようにして一直線に教室に走った。