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夏海さんが用意してくれた布団に入ってからのことである。

「そういえばさ、二人とも、好きな人とかいないの?」

そう言い出したのはこにちゃんだった。

午後の授業をサボるほど放心状態に陥っていたこにちゃんは、先ほど回復したばかりだ。

「いるよぉ。」

そう答えたのは、咲子。

また、あんたは...。

「え、誰!?」

こにちゃんも、あんまりそれにがっつくなよ、いいことないよ。

「お兄ちゃん♡」

はぁ...。

思わず大きなため息が漏れる。

こにちゃんは無言。

暗くてよく見えないが、多分相当困惑している。

咲子は根っからのお兄ちゃんっ子。

ブラコンってやつ?

そんでもって、兄はシスコン。

咲子はモテるのに、兄がああだから、誰も寄りつけない。

私には兄弟がいないから分からないけれど、ここまでくると兄弟愛のレベルではないと思う。

「へ、へぇ!さ、桜は!?」

こにちゃんが困って、私に振ってきた。

「いないわ、そんなの。

私に見合うような男、そうそう居やしないわよ。」

いつも、そう言って返す。