最悪、最悪、最悪!

なにあれ!?

うるさいからって、普通キスする!?

馬鹿!アホ!あんぽんたん!

てか、もう絶対帰っちゃってるし!!!

そう思いながら玄関に行くと、本を片手に待つ壮一の姿があった。

「え?壮一?」

「あ、来た来た。

さっきゴミ袋持った西園寺くんがさ、通り際に、空が日直だって教えてくれて。

だから待ってたんだ。

思ったより早く終わったね?」

ゴミ袋?

そうか、大空は日直の仕事でごみ捨てに行ってくれてたんだ。

しかも壮一に声までかけてくれてて。

申し訳ないことしちゃったな。

でも、だからってあのキスはなに?

早く私を帰すため?

大空がわからない。

今すぐにでも聞きたい気持ちと、聞きたくない気持ちとが混ざりあって、結局壮一と校門を出た。

すると、手に温みを感じた。

「...だめ?」

と、赤面する壮一。

「だめじゃない。」

そう答える私も、なかなかの赤面っぷりだ。



駅の前で手を解くのが、少し寂しかった。