コンコン。

「失礼しまーす。大島先生いらっしゃいますか?」

そう言うと、
「大島先生なら、今日はなんちゃらのスペシャルだからって帰られましたよ。」

と、ちょっと弱そうなひょろ長の先生が教えてくれた。

は?

私たちに仕事をさせて、自分は帰っただと?

大島先生の机へ行くと、

『お疲れ様。しおりは机の上に置いていってくれ。』

と書かれた付箋が一枚。

はぁ、と、大きなため息が漏れる。

困った、誰から借りようか。

先生の名前もわからないし、なにより人見知り。

絶望の淵に立たされた。

すると、

「すんません、ホチキス借りていいっすか?どこにあります?」

大空がキレイめの若い先生へ声をかけていた。

そして、ホチキス3つを手にしている。

「失礼しました。」

職員室を出ると、

「だからお前一人じゃ無理っつったろ?」

「私だってあれくらい出来たし!」

そういいながら、内心凄くホッとしていた。

大空が来てくれてよかった。

調子乗るから絶対に本人には言わないが。

教室に戻ると、三人はもう仲良くしているようだった。