「担任の大島努(オオシマツトム)だ、よろしくな。」

入学式の次の日、ホームルームの時間だ。

努って。この適当感丸出しで努って。

まあ先生になれたって事は努めた頃もあったんだろうけど。

「んじゃ、出席番号順に自己紹介してけー。終わったらクラス委員決めっから。」

そう言って黒板横に置いてあったパイプ椅子に腰掛けてしまった。

「はい。安藤桜です。よろしく。」

わお、淡白だなぁ。

「おいおい、それだけかぁ?血液型とか好きなもんとかなんかねぇのかよ。」

あ、適当人間がまともな事言った。

「すみません、先生早く終わらせたいのかと思いまして。

ショッピングに行くことが好きです。
将来はモデルになりたいです。

どうぞよろしく。」

そう言ってニコリと微笑んだ。

うっわ、綺麗。女でも惚れてしまいそうだ。

後ろを振り向くと、

あーあ、大空鼻の下伸ばしちゃって。


カツン


「いってぇー!!!」

下敷きを縦にして頭をチョップしてやった。

大空の声が教室に響き、少し緊張していた教室の雰囲気がとけて笑い声があがった。

「その緩んだ顔を引き締めてあげただけだよ?」

「な、なんだと...!?」

わしゃわしゃと髪をぐちゃぐちゃにされた。

「せっかく整えてきたのにー!」

「うるっせぇ、そんなに変わんねぇよ。」

「はぁ!?」


「あー、はいはい、仲良しはわかったから。漫才なら昼休みにしてくれ。

次、伊藤だ。」

どっとまた笑いが起きて、伊藤くんはやりにくそうだ。

ごめんね、伊藤くん。

心の中で手を合わせた。