「あの空のよう、広く大きな心を持て。」

私に【空】と名付けたのは、今は亡き曽祖父だという。

私が産まれる1ヶ月前に亡くなったそうだから、一度も顔は見たことがない。

私はこの名前が気に入っていた。

幼稚園のバスの中でも、いつも空を眺めていた。

その空が雲隠れしたのは、小学校の頃だ。

雲の正体は、西園寺大空。

あれは入学式の日のお話。