好きの代わりにサヨナラを《完》

翌日は、四枚目のシングルのジャケット撮影が入っていた。

いつもはメンバーのみんなと同じ部屋を使っているけど、今日はあたしだけ別の部屋で着替えさせてもらった。

白い生地に襟とスカーフだけ紺色のセーラー服。
自分が通っていた中学校の制服とそっくりだ。

衣装に着替え、他のメンバーより少し遅れて撮影スタジオに入る。

あたしが入る前に、マネージャーがメンバーに経緯を説明することになっていた。

マネージャーに呼ばれて、あたしは重いスタジオの扉を開く。



「おはよう……ございます」

いつもならメンバーには「おはよう」しか言わないけど、今日は「ございます」までつけた。



メンバーは誰もあたしに挨拶を返さない。

あたしに挨拶してくれたのは、大人のスタッフさんだけだった。