好きの代わりにサヨナラを《完》

「蓮見蒼﹙ハスミアオイ﹚16歳。お前の中学の同級生だ。違うか?」

あたし、蒼の名前なんて言ってない。

どうしてこの写真一枚でそこまでわかるんだろう。

あたしは初めて芸能界で力を持っているこの事務所を怖いと思った。



「この男と連絡取っているのか?」

「いえ……」

あたしは怯えた目でマネージャーを見上げていた。



「全部消せ。この男の連絡先は全部消せ。」

マネージャーの高圧的な態度に、あたしは何も言えなかった。

何か考える余裕もなく、言われた通りに蒼と連絡が取れるものは全て消去した。