この二人の間に何があったんだろう。

それを聞いてはいけない気がして、あたしはテーブルに置いたアイスのカップを手に取った。



「莉緒ってさぁ、将来の夢とかないの?全米デビューとか」

デビューして一年でトップアーティストになった莉緒に、これ以上叶えたい夢はあるんだろうか。

なんとなく興味があって聞いてみた。

「うーん、人気の絶頂でできちゃった結婚して引退することかな」

いつも完璧なパフォーマンスをしていてプロ意識が高そうな莉緒が、そんなふうに考えてるなんて意外だった。

驚いて顔を上げたあたしに、莉緒はニッコリ微笑む。

「二十歳くらいがいいかな……」

遠い目をしてそう言った莉緒は、普通の女の子の顔をしていた。



「ほのかは、なんかそういうのないの?好きな人とかいないの?」

急に自分に振られると思ってなかった。

あたしは焦って、アイスのカップを持ち直す。

「あたしはないよ……」

あたしは視線をそらして、また一口アイスを口に運んだ。