好きの代わりにサヨナラを《完》

バニラアイスを持って、莉緒の向かいに座る。

制服を着てスッピンのまま美味しそうにアイスを食べる莉緒は、ステージでフルメイクしていた時と違って意外に幼いというか年相応に見えた。

それでも少し茶色に染めたストレートヘアは相変わらずサラサラだし、やっぱり芸能人オーラは隠せない。

周りの子は、確実に莉緒の存在に気づいていた。

東京の子は芸能人に慣れているのか、なぜか誰も騒がない。

みんな気づいてないようなフリをしてるけど、時々こっちに向けられる視線が気になって仕方なかった。



「食べないの?」

アイスを持ったまま固まってるあたしを、莉緒は不思議そうに見ていた。

「そのうち慣れるよ」

莉緒はあたしの気持ちに気づいたのか、ふっと笑った。