好きの代わりにサヨナラを《完》

莉緒が行ってみたい場所は、女の子に人気のアイスクリーム屋さんだった。

テレビでも紹介されたことがある可愛らしいお店は、学校帰りの女の子で一杯だった。

こんなに中高生が多いところに莉緒と入って大丈夫なんだろうか。

あたしはまだそんなに有名じゃないけど、莉緒を知らない人はいないはず。

あたしの心配をよそに、莉緒は堂々とお店に入っていく。



「ほのか、どれにする?あたしはこれがいいな」

隣の女子高生がチラチラこっちを見ている。

微妙に気づかれてる気がするけど、誰も声をかけてこなかった。

「あたしは……これでいいや」

可愛いアイスがたくさんあるのに、あたしはなぜか無難なバニラを頼んでしまった。

なんとなく落ち着かなくて早く外に出たい気分だったけど、莉緒は迷わず店内のテーブルについた。