好きの代わりにサヨナラを《完》

音楽フェス以外にもイベントはたくさんあって、あっという間に春休みが終わってしまった。



4月から芸能コースがある高校に進学することが決まっていたけど、あたしは自分の高校の入学式に出席することもできなかった。

イベントが落ち着いてやっと高校に通えるようになった頃には、新学期が始まって数日経っていた。

芸能人ばかりのクラスは初めてだし、もうみんな仲良くなってるんじゃないか心配だったけど、莉緒も同じ高校に通うと聞いて少し安心した。



今日、初めて自分のクラスに入る。

あたしは真新しい鞄に蒼からもらった小さなウサギをつけた。

衣装に比べると少し地味なブレザーの制服を着て、あたしは教室のドアを開けた。