好きの代わりにサヨナラを《完》

プロとしてちゃんとやりたい。

だけど……
なぜか幼なじみの顔が浮かぶ。



蒼のこと好きだなんて意識したことはない。
というか、彼の隣にいるのが当たり前だった。

蒼は、あたしが恭平とキスしたらどう思う?
別になんとも思わない?

それとも、少しは……



あたしが物思いにふけって、遠くをぼんやり眺めていたせいだろうか。

犬があたしの膝の上で、クーンと小さく鼻を鳴らした。



「あたしのこと、心配してくれてるの?」

あたしの気のせいだろうか。

犬は、うるうるした瞳でうなずいてくれた気がした。