好きの代わりにサヨナラを《完》

薄暗いステージの上で、あたしたちは自分のポジションについた。

あたしはメンバーの先頭に立ち、胸に手を当てて下を向いた。



snow mistのデビュー曲が流れ始める。

ステージに立つあたしたちの姿が、明るく照らし出された。

お客さんが持つペンライトの光が、次々につけられていく。

客席がライトブルーの光に染まった。



蒼に見ていてほしい。

あの日、二人が選んだ道は間違っていないと、あたしが証明してみせる。



スポットライトが、まっすぐあたしを照らし出す。

あたしは光に包まれて、ゼロポジションへ歩き出した。






《完》