好きの代わりにサヨナラを《完》

あたしも蒼のことが好きだ。

でもそれを口にしたら、あたしたち二人はどうなってしまうんだろうか。

静かになってしまった蒼の部屋で、自分の心臓の音だけがあたしの耳に響いていた。



「あたしは……」

そう言ってみたけど、それ以上先は言えなかった。

蒼のまっすぐな視線に捕らえられただけで、顔が赤くなってしまう。



「今日は……帰るね」

蒼とは目を合わせずにそう言うと、あたしはスマホをつかんで立ち上がった。



「待てよ」

蒼が後ろからあたしの肩をつかんだ。

蒼に引っ張られて、もう一度蒼と正面から向き合う。