あたしは幼い頃からずっと蒼の背中を追いかけていた。

彼の隣にいるのが当たり前だった。

いつも近くにいすぎて、その存在の大きさに気づけなかった。



蒼と過ごした日々を思い出していたら、また泣きそうになってしまった。

あたしは目を開けると、サビついたブランコの鎖を両手で握る。

足を地面から離して、ゆったりブランコを揺らした。



蒼にオーディションに合格したことを告げた日、確かに蒼はあたしに何か言おうとしていた。

あの時、あたしのことが好きだと伝えてくれていたら、あたしの人生は違うものになっていたんだろうか。