「……違います」

「アイドルなんて男にチヤホヤされたいだけでしょ。

歌もダンスも中途半端なクセに……自分のこと可愛いと思ってんの?上手なのは、握手だけだっけ?

男に媚び売るのが仕事なんじゃないの?」

あたしは、無言で恭平をにらみつけた。



「可愛い顔が台無し。もっと愛想よくしたら?
アイドルグループのセンターちゃん」

恭平は、あたしに顔を近づけてのぞきこむ。

あたしは恭平の頬をおもいっきりビンタした。



「……す、すいません」

「本当のこと言われたからって、殴ることねぇだろ」

恭平は殴られた頬を押さえながら、また一歩あたしに歩み寄る。



「怒った顔も可愛いね」

あたしを見下ろし微笑む恭平の瞳は、恐ろしいほど冷たかった。



「失礼します……」

身の危険を感じて、スタジオから出ようとするあたし。



「待てよ」

恭平はあたしの手首をぐっとつかんだ。



「あんたのこと、気に入った」