好きの代わりにサヨナラを《完》

「帰るわよ。あんたの切符ももう用意してあるから。一緒に新幹線で帰りましょ」

母は昔から言い出したら聞かない性格だ。

あたしの返事も聞かずに、鞄を肩にかけて席を立ってしまった。



「待って、お母さん……勝手に帰っちゃ駄目だって。明日も仕事あるし」

あたしも立ち上がって、スタスタ歩き出した母親を追いかける。



「娘を泣かせるような所に預けられないわよ」

母は足を止めない。

あたしは母の鞄の紐をつかんだ。



「それじゃ、契約違反だよ」

母は足を止めて勢いよく振り返った。

「あんたは未成年なんだから、そういうことは親が決めるの。この子は私が連れて帰ります」

母は管理人さんにそう言い切ると、あたしの腕をつかんで歩き出した。