好きの代わりにサヨナラを《完》

「……はい」

「ほのかちゃんにお客様です」

寝ぼけた声で返事をしたあたしに、管理人のおばちゃんがいつもの穏やかな口調で語りかける。



「今行きます……」

枕元に置いてあったスマホを拾い上げて時間を確認したら、もうお昼を過ぎていた。

ほんのちょっとのつもりが、ずいぶん眠っていたらしい。



こんな時間に誰だろう……

あたしはスマホを握って、部屋着のまま部屋を出て階段を下りた。