好きの代わりにサヨナラを《完》

もうボロボロだ。

今までどんなに緊張しても、こんなに酷いパフォーマンスをしたことは一度もない。

あたしは自信が持てなくなってしまった。

小さい頃から人前で泣くのが嫌いで、どんなに辛いことがあっても、どんなに嬉しいことがあってもテレビに映っている所で泣いたことは一度もない。

あたしはあんなにポロポロ涙を流す姿が全国ネットで放送されてすごく恥ずかしかった。

何もかもやる気をなくしてしまった。

学校に行く時間なのに、あたしはまだ布団の中にいた。



もう誰にも会いたくない。

仕事は勝手に休めないけど、学校は風邪でもひいたことにして休んでしまおうか……

あたしは枕元の目覚まし時計を見て時間を確認すると、頭まで布団をかぶって目を閉じた。



昨日のショックでよく眠れなかったあたしは、カーテンごしに太陽の光を感じながらもう一度眠りにつく。

辛い現実を忘れてうつらうつらしていたら、部屋の壁に備え付けてあるインターホンが鳴った。