好きの代わりにサヨナラを《完》

それを見たあたしの目から、涙がこぼれ落ちる。

あたしは両手で口をおおった。



蒼……

美憂……

あたしを助け出してくれる人の名を心の中で叫ぶ。

だけど、その名を口に出すことはできなかった。



立ち尽くすあたしの周りをメンバーが踊りながらくるくる回っていく。

あたしは泣いている声がもれないように、両手で顔を隠した。



動けないあたしを取り残して、どんどん曲が進んでいく。

あたしはこの場所に立っているのがやっとだった。



曲が終わり、メンバーが最後のポーズを決める。

ステージの照明が消えた瞬間、あたしはその場に崩れ落ちた。