好きの代わりにサヨナラを《完》

あたしは、どうしてアイドルになったんだろう。

恭平の言葉が、今もあたしの胸に突き刺さる。



ステージの前には、大勢のファンが集まっていた。

あたしはもうファンの人に合わせる顔がない。

あたしは下を向いて、ステージの中央へ歩いていく。



あたしはステージの最前列に一人で立つ。

二列目には二人のメンバー、三列目には三人のメンバーが立って逆三角形を作っていく。

この場所にいると、あたしは一人でステージに立たされている気がした。

メンバー全員がポジションにつき曲がかかる直前、客席から罵声が飛んだ。