好きの代わりにサヨナラを《完》

「どうして今更そんなこと言うの……?」

あたしの声は、微かに震えていた。

あたしは涙に霞む目を、蒼だけに向けていた。



「どうしてあの時言ってくれなかったの?」

あたしは無我夢中だった。

騒ぎに気づいたスタッフが人混みをかき分けて、あたしに近づく。

スタッフの制止を振り切って、あたしは叫んだ。



「もう遅い……もう遅いんだよ」

スタッフがあたしの肩を押さえる。

あたしはその場にしゃがみ込んで、泣き崩れた。