好きの代わりにサヨナラを《完》

蒼はまだあたしに何か伝えようとしていた。

蒼はあたしに視線を向けたまま、スタッフに肩をつかまれ出口に押し出された。



「待って、蒼……!」

あたしは蒼を追いかけてブースの外へ飛び出した。



周りを歩いていた人が、あたしに気づいて足を止める。

あたしはそんなことも気づかずに、蒼の背中だけを追いかけていた。



「蒼!」

あたしの声に、蒼が振り返る。

大勢の人があたしたちを取り囲んでいく中、あたしは蒼とまっすぐ向き合った。