好きの代わりにサヨナラを《完》

「ヨシさん、また来てくださいね」

彼はスタッフに剥がされることもなく、出口に向かってスタスタ歩いていく。

一生懸命彼の背中に手を振り続けたけど、ヨシさんは一度も振り返ってくれなかった。

あたしのブースは、静まり返っていた。

あたしはもう泣きそうになっていた。

ヨシさんなら、まだあたしのことを応援してくれると思っていた。



あたしは涙をこらえて、入口に視線を向ける。

次の人はブースに入ると、あたしを見て立ち止まった。