横を見ると、固まっている紘の姿があった。

「どうした、本当に死んだか?」

「…」

「なんとか言えよ」

イライラしてきた。
と、紘が口を開く。



「…あのさぁ、直人ってさぁ、去年死んだよな」


冷や水を背中に浴びせられたような気がした。

ばっと直人がいた方を見た。
そこには狭いベンチの端に一人分の空間があるだけだった。

そうか、そうだ。なんで今まで気づかなかったんだ?

直人は…。