青空の魔法

「ねー、聞いてる?」

もう一度アミノが言った。

「え、ああ…。でもオレ、夏休みなくていいかも。家より学校来てるほうがマシ」


家は息が詰まる。

母親は、父や兄貴の出身校である東大へ、オレを行かせるのが自分の任務だとでも思っているらしい。

ちょっと息抜きにテレビでも見ようものなら、勝手にスイッチ消されるからな。


「はー…」

とアミノがタメ息をついた。

「せっかくデートしよって誘ってんのに」

呆れたようにオレを見る。


「バカ、声デカいよ」

男女交際は禁止だから、教師に見つかるとめんどーなんだ。


「聞こえたっていいじゃない。武見はあんな校則に支配される気?」

アミノが口をとがらせた。


「そんな気はねーけど…。ただ見つかると親が呼ばれるから、それがヤだ」

想像しただけでうんざりする。