青空の魔法

「ああ…。本当です」

「だったらね、言いにくいんだけど…」

奥歯に何か挟まったような言い方。

その先に言いたいことは、だいたい予想がつく。


「庭の水撒き、お願いできないかな?」

と、おばさんは言った。

「はっ?」


「仕事から帰ってからだと大変なのよ。鍵渡しとくし、ちょっと早目に来てやってくれると助かるんだけど…」

おばさんの言葉は全くの予想外で、オレの頭は軽くパニクる。


「えっと…」

「でね、途中のスーパーで買い物してきてくれると、もっと助かる」

なんて、おばさんはつけ加えた。


「あ、ボクでよければ、全然」

オレが頷くと「キャ~助かる~」とおばさんは大喜びし、アミノに怒られていた。


ウソだろ?

娘にこんな虫がついたら、普通の親はそんなことは言わない。

現にアミノは自習時間をほっぽりだして、ここでゲームして遊んでるんだし。

この人は、よほどの太っ腹か、もしくはものすごーく無防備な人だ。