焦れ甘な恋が始まりました

 


「あの……ご馳走様です。お金、払っていただいちゃって……」


「こんなファーストフードで、そんなお礼を言われたら、今後食事に誘いにくくなるんだけどなぁ」


「食事、って……あの……」



夜の海。

寄せては返す波の音だけが響くそこで、柔らかに笑う下條社長を見ると、何故かそれだけで泣きたい気分になった。


社長はきっと、なんの考えもなく食事だなんて、そんなことを言ってるんでしょう。


だけど、私にとったら、今のこのファーストフードのハンバーガーですら、夢みたいなことなんです。


生温いハンバーガーが、高級レストランのディナーよりもよっぽど輝いて見えて。


社長の隣に座って、こうしてご飯を食べているという今の状況だけで、まるで夢みたいな奇跡なんです。


だからそんな風に、例え冗談でも……期待をさせるようなこと、言わないでください……