焦れ甘な恋が始まりました

 


「か、会社にいたのは、お財布を会社に忘れて取りに戻ってきたからで……。先約の件は、社長からお電話を頂いた時には確かにあったんですけど……キャンセルになって……」


「は?」


「あ、相手に急な仕事が入ったんです。なので、つい先程、今日の予定は無くなってしまって」



まるで必死な言い訳みたいだなぁ、なんて。


そう思いながらも事実を口にすれば、何故か驚いたような表情で私を見る社長。


なんとなく申し訳ないと思いながらも首を傾げれば、急に不機嫌そうに眉根を寄せた社長が、再びゆっくりと口を開いた。



「……なんだよ、それ。前も、出張だかなんだかで、日下部さんがせっかく作った手料理を無下にしたんじゃないの?」


「は、はぁ……それは確かに、そうですが……」


「それなのに、今日も仕事でドタキャン?この間のこととか、少しも反省してないじゃん。っていうか、あまりにも無神経すぎるでしょ」


「でも、本人も悪気があるわけじゃないし、仕事が大変なのも事実だから、それは仕方のないことだと思うし……」