焦れ甘な恋が始まりました

 


「……ハァ、」

「……あ、あの」



私を助手席に押し込めたあと、自身は運転席側へと廻り込み車に乗り込むと、ハンドルの上に腕を置いて一度だけ大きな溜め息を吐き出した下條社長。


そんな姿も様になっていて、自分の置かれている状況も忘れて、つい魅入ってしまう。



「ちょっと強引になって、ごめん。ただ、ゆっくり話すにはまず、車に乗った方が早いかと思って。ほら……会社の人間に話しの内容を聞かれたりして、色々詮索されると面倒だし」


「は、はぁ……それで」



……なるほど。

確かに、社長と私が二人きりで遅くまで話し込んでいるところを会社の人に見られたら、変な噂をされることもあるのかもしれない。


私と社長じゃ、噂の種(タネ)にもならないかもしれないけど、中には噂好きの社員さんがいるのは事実だし。


そんな噂を流されたら社長だって迷惑だろうし、社長と一社員が……なんて、イメージダウンにもなりかねない。