……仕方ない、帰ろう。 ここで馬鹿みたいに一人で人混みを眺めていたって、何かが変わるわけではないし。 せっかくの金曜日。 予定が無くなったのだから、帰りにDVDでも借りて帰ろうかな。 そう思い、今度は携帯の代わりにsuicaの入ったお財布をバッグの中から取り出そうと手を伸ばした。 ―――と。 「……嘘でしょ」 そこでようやく私は、鞄の中に財布がないことに気が付いたのだ。