焦れ甘な恋が始まりました

 


『……お姉ちゃん?怒ってる?』


「……ううん。私は大丈夫だよ。仕事、頑張ってね。でも、無理だけはしないようにね?」


『……うん。お姉ちゃん、いつもありがとう。また連絡するね』


「わかった。忙しくても、ご飯はちゃんと食べなさいね。それじゃあ、またね?」



……と。それだけ言って、閉じた通話。


騒がしく人の行き交う駅の改札で、流れる人の群れをどこか遠くで眺めながら、私は音を無くした携帯電話を一人静かに鞄の中へと押し込めた。