焦れ甘な恋が始まりました

 


『……もしもし、お姉ちゃん?』


「蘭、お疲れ様。今、駅の改札のところにいるよ。もうホームに着いたの?」


『そのことなんだけど……本当に本当に本当に……っ、申し訳ないんだけど……。今日の予定……キャンセルでもいいかな?』


「え?」


『実は、急な仕事が入っちゃって……入稿が月曜日だから、今日はもうこのまま徹夜になりそうで……。土日も仕事に出なきゃだし、ホントにホントに……ごめんね。この間の埋め合わせと、この埋め合わせは必ずするから!本当に本当に、ごめんなさいっ!!』



……そう。電話口で何度も謝罪の言葉を口にする蘭を責める気になんて、到底なれなくて。


蘭が仕事を頑張っていることは知っているし、誰よりも努力を重ねてきたのも知っている。


毎日夜遅くまで働いて、それでも滅多に愚痴も言わない。


真面目でお人好しな蘭のことだから、今日の急な仕事も快く引き受けたのだろう。


……出張帰りで疲れてるはずなのに。蘭は、頑張り過ぎだよ。