焦れ甘な恋が始まりました

 



「……そういえば、ずっと疑問だったんですけど」


「うん?」


「下條さんは……一体、いつから……その、私のことを、好きでいてくれたんですか……?」


「……っ、ゲホっ、ゲホ、」


「す、すみません、こんなタイミングで……。でも、その……ずっと、気になってて。あのチャペルで、下條さんは営業部の時から……みたいなことを言ってくれたけど、私には思い当たる節が全くなくて……」



カレーを掬ったスプーンの手を止めながら、下條さんを伺うように見れば、手元の水を一気に喉に流し込んだ彼が恨めしそうに私を見た。


……そんな顔、しなくても。

だって、誰もが認める下條さんを、どうして過去の自分が射止めたのか、サッパリスッカリわからなくて。



「……俺が、営業部にいた頃」


「え?」


「たまに、杏のところに仕事を頼みに行ってただろ?その時……俺、すごく調子が悪い時があって。社長就任の時期を親父に言い渡されて、それまでに精一杯精進しろってプレッシャーを掛けられている時期だったんだけど……」



どこか、懐かしむように。

大切な思い出を宝箱から出すように、丁寧に言葉を紡いでいく下條さんは、私を見てとても柔らかに微笑んだ。