焦れ甘な恋が始まりました

 



下條さんの家で食卓を囲みながら、呆れたような溜め息を吐いた彼を恨めしげに見つめれば、「いただきます」と、視線ごと流された。



「……何、このカレー。めっちゃ美味い」



だけど、次の瞬間には子供のように目を輝かせる彼を見て。自分が好きになった人は、こういう人なのだから仕方ない、と今更ながら思い至る。



「……カレーは、最初に玉葱を飴色になるまで炒めるとコクが出て美味しいんです。ルーも、市販のものをいくつかブレンドしました。おかわりもあるので、たくさん食べてくださいね」



そう言って溜め息混じりに微笑めば、「やった」と、本当に嬉しそうに笑う彼を見て……胸には愛しさが溢れだす。


ああ、もう。本当に、私はこの人が好き。

普段は誰が見ても完璧で、付け入る隙もない人なのに……時々、子供のようになったかと思ったら、どうしようもなく甘くなって。


この先、この人といられたら、どれだけ幸せだろう。


どれだけ、この人を愛しいと思うだろう。


考えたら考えただけ胸は彼という存在に埋め尽くされて、恋をすることには年齢なんて関係ないのだと思い知った。