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「…………いや、なんていうかね?俺は悪くないと思うんですよ。俺はね、何も見てないと思うんですよ。そんなね、社長が社長室で日下部さんを押し倒して、仕事中に今すぐ、ナニを始めようとしてたかなんて。仮にも社内No.1ともあろう人が、職務中に、そんなことしてるなんて幻滅…………いや、それはもう、俺は何も悪くないと……」
あの後。
とにもかくにもテンパッている狩野くんを見ることもできず真っ赤になりながら俯く私と、完全に自分が悪いのに不機嫌全開で狩野くんを睨む下條さん。
そんな二人に囲まれながら、私はもう一言も言葉を発することができなかった。
……でも、アレは、下條さんが悪いよね?
そりゃ確かに、私も下條さんをちゃんと止めなかったのも悪いけど、だけどアレはホントに……
「おーい。まだ、落ち込んでるの」
「……、」
「ご飯、冷めちゃうけど」
……この人の鋼(はがね)の心臓って、仕事以外では結構厄介だ。



