焦れ甘な恋が始まりました

 


まるで、バージンロードを歩く花嫁のように、一歩一歩。


これじゃあまるで……立場が、逆だけれど。



「……なんで、泣いてるの」

「っ、」

「どうして、こんなところで一人で泣いてるのかって聞いてる」



だけど、私の目の前で足を止めた下條さんは何故か……酷く、怒っていて。


どうして下條さんがそんな風に怒っているのか、今の私にはサッパリわからずに、ただその強い瞳を見つめ返すことしかできなかった。



「大体にしてっ、今までの状況から、どうして急に結婚なんて話になったんだよ……っ!」


「っ、」


「アイツには、本命の彼女がいたんだろ!?だったら結婚するのは杏じゃなくて、そっちとだろう!?それとも、本命とダメになったから、杏と結婚するって言い出したのか!?」


「……え、」


「言っとくけど、そんな理由とその程度の気持ちでする結婚なんて、俺は絶対に認めないっ。アイツが杏を心の底から愛して幸せにするって言っても、俺はアイツとの結婚だけは絶対に――――」


「ちょ、ちょっと待ってください、下條さん……」


「なんだよ!杏は、アイツを庇うのか!?」



いや、そうじゃなくて……



「その…… “ アイツ ” って、誰ですか……?」