焦れ甘な恋が始まりました

 



小出ちゃんのその言葉に、私は完全に返す言葉を失った。


以前、総務部のパートさんに同じことを指摘された時。私は、「妹だけじゃなく、弟のところにも料理を届けることになったんです」と、誤魔化したことがある。


もちろんそれは、社長と私のやり取りのせいで、社長に迷惑の掛かるような変な噂が会社の中で立たないようにするための嘘。


だけど……パートさんよりも多く一緒の時間を過ごしていたはずの小出ちゃんには、一度足りとも冷蔵庫の中の増えた保冷バックについて聞かれることはなかった。


……そうか。そうだった。

小出ちゃんは、ずっと前から――――



「……私は、日下部さんにも幸せになってほしいです」



私の気持ちに気付いて、見守っていてくれたんだ。