「結婚式場に来てるっていうか……小出ちゃんの結婚式に来てるの。今はもう二次会だけど」
『そうだよ、そうでしたぁ。確か会場はぁ、セント・アプリコットガーデンでしたっけ?あそこ、外観もお城みたいで綺麗ですよねぇ。いいなぁ、そんなとこで結婚式挙げるとかぁ』
「え、と、狩野くん?」
あのね、それより何より、私は社長の体調を聞きたくて……
だけど、そんな私の想いは、この酔っ払いに通じる訳もなく。
タイミング悪くも結婚式のことを思い出したらしい狩野くんは、電話でもわかるくらいに騒がしく話しながら、とても楽しそうに笑う。
『でも、俺も寂しいですよー!だって、せっかく仲良くなったのにぃ、寿退社とかぁ!!』
「あ、あのね、狩野くん、」
『っていうか、もしかして俺、空気読めてないです!?うわー、大切な時に電話して、すいませんでしたぁ!お幸せに!!幸せ万歳!!俺にも是非、幸せ分けてくださいねー!』
「あ、あのっ、狩野くん!?」
『それじゃあ、失礼しましたぁー!』
「っ、」
プープー、と。
聞こえてきたのは無機質な電子音。
結局、マシンガンの如く一方的に捲し立てるように話す狩野くんに押されて、社長の体調の真相は聞けずに通話は終わってしまった。



