焦れ甘な恋が始まりました

 


狩野くんの言葉に、ドクドクと嫌な音を立て始めた心臓。


下條社長に、元気がない?

VENUSのオープンが、成功も大成功を収めたというのに?


そんなの……本当に、何かあったんじゃないだろうかと心配になってしまう。


今の私は心配する立場にもないけれど、それでもやっぱり……相手は社長で、私の好きだった人、だから。


もしかして、体調が悪いとか?

また、忙しいせいでろくに何も食べずにいて具合が悪いとか?



「ねぇ、狩野くん。社長は今、どんな様子で――――」


『あー!!そっかぁ!!そういえば、今日は日下部さん、結婚式場に行ってたんでしたよね!!』



だけど、そんな私の心配を一刀両断するように、再び大声を上げた狩野くんに、携帯から耳を遠ざける。


……本当に、鼓膜が可笑しくなるから突然大声を出すのは止めてほしい。