ぼんやりと、最後に見た社長の横顔を思い出したら、不覚にも胸が針で刺されたように痛んで慌ててその痛みに蓋をした。
……いけない。もう、社長とのことは忘れようと決めたのに。
社長から引導を渡されたのだから、私は潔くそれを受け取らなきゃいけない。
『ちなみに打ち上げは、6時から始まってまーす!』
その言葉に、ふと時計を見てみれば、時刻はもう夜の7時半を過ぎていて……
ああ、もうそんな時間なのだと、今更自分が時間を忘れるくらいに、幸せな時を過ごしていたのだと思い知る。
一昨日、失恋したばかりだというのに。
私は歳を重ねるごとに、とても図太く成長したらしい。
『っていうか、日下部さんこそ今どこにいるんですかぁー。暇なら今から、こっち来てくださいよー。社長はVENUSが無事にオープンしたってのに、何故か元気がなくて、全然、お酒飲まないしぃ』
「え、」
『飲んでくださいって言っても、ずーっと烏龍茶なんですよ。なんかもう、元気ない通り越して死にそうだから、立石さんに連れ帰ってもらおうかって話も出てるくらいでぇ』



