小出ちゃんの説明を聞きながら、パラパラと数ページ捲ってみたけれど、さすがにそれだけでは詳しい内容はわからなかった。
それにしても……イケメン社長と料理好きな平凡OLの恋物語、って。
今のこのタイミングで読んだら、無駄に入り込み過ぎて、色々ダメージ大きいかも……
「このお話って……結末、どうなるの?そのイケメン社長と平凡OLは……無事に上手くいく?」
「えー、それを言ったら面白くないじゃないですかぁ。せっかくなので、最後まで読んでください!社長の不憫っぷりを、是非堪能してください!」
結局、目をキラキラと輝かせながら、そんなことを言う小出ちゃんの勢いに押されたら、それ以上の内容を聞くことはできなくて。
「わかった」と頷いてしまった私は、その本を剥き身で、バッグの中へと押し込んだ。
……帰りの電車の中で、読もうかな。
そのまましばらくは、通勤のお供にしようか。
ぼんやりと、バッグの中に収まったその本を見ながら、そんなことを思っていれば。
突然、同じくバッグの中に収まっていた携帯電話が震えて、私は慌ててそれを手に取った。



