もちろん、ほんの少しのやり辛さや効率の悪さは出てくるけれど。
残った人たちは、昨日まで惜しんでいたことが嘘だったかのように仕事をこなしていく。
当たり前の毎日を、やらなければいけない仕事と共に、繰り返していくんだ。
だってそれが……残った人間の、仕事だから。
「これは、私だけじゃなくてね。誰にでも、言えることだけど」
敢えて小出ちゃんの名前を出さなくても、聡い彼女は、それだけで自分のことを言っているのだと、わかってくれただろう。
そんな私の気持ちを汲んだように小出ちゃんが小さく頷いたのを確認してから、再びゆっくりと言葉を紡いでいく。
「もちろん、“ その人じゃないと、できない仕事 ” も、世の中には、たくさんある。だけど仕事って、そうじゃないことの方が、私は圧倒的に多いと思う」
――――確かに、日下部さんが今やってる仕事は、例えば今後、新しい誰かが入ってきても出来るような仕事かもしれない。
それは以前、社長に言われた言葉。
その後、社長は……それを踏まえた上で、大事なのは、その人がしている仕事の、プラスアルファの部分なのだと言っていた。
だけど、それは裏を返せば。
基本的な仕事内容の話では、今の私の仕事も、小出ちゃんがやっていた仕事も、結局は、いくらでも代わりがきくということなんだ。



